6月26日に開催されたロッテホールディングスの定時株主総会のご報告その3です。
今回の株主総会では、定款で定められている議長の役割を果たすべき者が株主総会開始後すぐに他の取締役に議長を交代するという出来事がありました。
もちろん、議場に諮って議長を交代すること自体は違法ではありませんが、退任が予定されている取締役にあえて議長を交代するということは聞いた事がありません。
しかし、オンラインで株主総会に出席していた重光昭夫は、その日の総会終了を以て退任することが決まっていた小林取締役に議長を交代したのです。
ロッテホールディングスの定款第17条では「株主総会は、取締役社長が議長となる」と定められています。今回の定時株主総会時点の「取締役社長」は重光昭夫ですから、当然、株主総会の議長の職務を果たす責任がありました。
言うまでもなく、株主総会は、株式会社の最高意思決定機関であり、株主総会を適切に開催し、そこで株主に必要な報告・説明を行い、議案を諮るということは、会社にとって極めて重要な事項であり、そして取締役にとって最も重要な職務の一つです。
表面上、オンラインでの参加を理由に議長交代を言い出したものですが、そのような理由は全く説得力がありません。議場に諮って議長を交代すること自体は違法ではないとしても、取締役としての重要な職務を放棄したと言われても仕方ないように思います。
第一に、コロナ禍においても他の取締役は全てその場に出席しており、一人だけオンラインで出席するということ自体が不可解だと思います。(日韓間の行き来があるとしても、予め日程が決まっていることなので自主隔離期間を考慮しても十分対応可能なはずです。)
第二に、2018年6月の株主総会では、当時ソウル地裁で有罪判決を言い渡されて拘置所に収監されていた重光昭夫は、日本でロッテホールディングスの株主総会に出席しなければならないことを理由にして保釈申請をしていましたが、その時の対応と大きく矛盾しています。
当時は佃氏が代表取締役社長でしたが、今回はいざ自分が議長として株主総会の説明責任の場に立つことになると、その場に出席せずにオンラインで参加し、それを理由に議長の役割から逃れたのではないかと推測されます。
正論を言う株主に相対することを恐れているのか、経営不振や有罪判決という重大な事象に対してまともな理由を自ら説明することができないのか、議長を交代した本当の理由は定かではありませんが、いずれにしても、ロッテグループの代表者としての資質に欠けると言わざるを得ません。